コラム

現況有姿

 

こんにちは。千葉市稲毛区の三和住販株式会社です。今回は現況有姿について書いていきます。


現況有姿とは


現況有姿は、現在のあるがままの状態を指しています。

例えば、面積が大きい山林や原野を販売する場合に造成工事を行わないで販売をすることを現況有姿分譲といいます。この売り方については、市街化調整区域の別荘地などの分譲で行われることが多いです。

造成工事を行っていないため、水道・ガス・電気などの生活インフラが整備されてないためそのままでは生活することが出来ません。このような販売形式をとるときは広告に生活インフラが整備されていない旨を明記する必要があります。

建物についても現況有姿売買は行われます。あるがままの姿で売買する旨は土地と変わりませんが、売主は契約不適合に当たる部分の責任を負わないわけではありません。


現況有姿の注意点


現況有姿売買を行うにあたって売主はその物件について知っていることを伝える必要があります。(告知義務といいます。)

例えば、降水量が多いときは屋内で雨漏りが発生してしまうことや、前面道路が冠水してしまうことなど生活に関することや、住宅設備などの修繕履歴についても買主へ事前に伝える必要があります。この告知を行わなかった場合は、契約違反を理由に損害賠償を求められる場合もあります。

以前は「瑕疵担保責任」という名称で上記のような隠れた瑕疵を発見した際に追及ができるようになっておりましたが、現在は令和24月に民法改正により名称が「契約不適合責任」なっております。


契約不適合責任


契約不適合責任とは、引渡した物件が契約した内容に適合しない場合については、買主が売主に対し、引渡した後であったとしても修繕などを契約の内容に適合させることができるといった内容です。(ここで言う契約に適していないとされる内容としては、雨漏れやシロアリ被害、建物内での自殺や殺人を隠していたことなどが当たります。)

契約不適合責任が担保されている期間に買主が実損を受けた場合は損害賠償請求が可能になり代金の減額を請求することができます。

契約した内容と物件の状態があまりにもかけ離れており、修繕の請求などを何度しても売主が対応をしない場合については、契約の解除を行う場合もあります。

契約不適合責任には売主が担保をする期間が定められていることがほとんどです。

不動産業者が売主となる場合については、担保期間を2年以上にする必要があります。ですが、個人が売主になる場合については、契約不適合責任を負う期間は任意となっているので契約をする際には内容を確認する必要があります。

買主も契約不適合責任の追及をするには、買主が不具合を知ってから1年以内に不具合内容を売主に通知する必要がありますのでその点についても注意が必要です。

尚、先ほど書いた担保期間が過ぎている場合については、話し合いになるか状況が悪ければ裁判になる可能性もあります。


トラブルの回避


現況有姿のトラブルを回避するためには建物状況調査(インスペクション)を行うことが一つの回避策になります。

既定の講習を受けた建築士が建物の状態をチェックすることにより重要事項説明書で検査結果を告知します。

建物状況調査については、どちらかが費用を負担する必要がありますが、双方が安心して契約をすることができます。売買を急いでいる場合などで、売主側が建物状況調査を行わせてくれない場合もありますので事前に確認する必要があります。


現況有姿売買のメリット・デメリット


売主側から見るメリットとしては、建物の場合は手直しをする必要がないので費用負担を抑えることができます。デメリットとしては、契約不適合責任を負う可能性がある点です。

 

買主側としてもリフォームを入れる箇所を自分で選べるため余計な費用を掛けないですみます。デメリットとしては、引渡し直後に設備利用ができない場合などに売主と連絡を取ることとなりますが、余計な時間や手間が掛かる可能性があります。


最後に


現在の取引では多くが現況有姿売買となっております。売主側としては、余計な費用が掛からないのと、時代によって内装のデザインなどが変化するため下手にリフォームを掛けてしまうと売りにくくなってしまう可能性があるためです。

買主サイドとしても内装については自分の好みにすることが出来るのでメリットが無いわけではありません。ですが、事前にキチンと確認をすることを怠ってしまうと住んでからいろいろと面倒なことになりますので確認ができる範囲については、しっかりと確認することにしましょう。

2021.09.02