コラム

おとり広告

 

こんにちは。千葉市稲毛区の三和住販株式会社です。今回は不動産業界における「おとり広告」について書いていきます。


おとり広告とは


不動産を売買したり、賃貸物件で入居者様を募集する際にはsuumoやathome等のポータルサイトを利用したり、自分たちで作成した募集広告を利用して買い手や借り手を探します。本来の不動産広告とはこのように健全であるべきです。
では、おとり広告とはどのようなものでしょうか。
広告を出す方法はsuumoやathome、自社作成広告など媒体は同じになりますが、広告を出している目的がそもそも違います。
なかなか反響がない物件で不動産契約を何とか結びたい物件に対するアプローチを増やすために魅力的な物件を使ったり架空の魅力的な物件を掲載する広告がおとり広告です。
手法としてはまず、実際には売買対象になっていない物件や賃借人を募集していない物件を広告として出します。その際は希少価値の高い物件等を提示します。
その広告に対し、お問合せいただいたお客様に対して「ちょうど成約になってしまった」や「ちょうど借り手がついてしまった」などと断りを入れて実際に売りたい物件や貸したい物件を勧めます。


おとり広告の定義と罰則


不動産のおとり広告については消費者庁からも下記のように定義されています。

・取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例…実在しない住所・地番を掲載した物件)
・取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例…売約済みの物件)
・取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例…希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)
(出典:消費者庁 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/case_003/ )
事業者が上記のようなおとり広告を行ったと認められた場合は措置命令を行う事が消費者庁長官から措置命令が出される事もあります。
また、おとり広告については宅建業法上でも禁止されており表示規約違反とみなされてしまいます。
措置命令を受けた場合に対し従うことが無いとみなされた場合には2年以下の懲役または300万円以下の罰金などの罰則を受けることもあります。(景品表示法第6条、第15条第1項・2項)


おとり広告の見分け方


おとり広告を見分けるにはいくつかポイントがあります。
まず、マンションの区分所有売買や賃貸物件の場合はマンション名が記載されているかどうかが一つのポイントになります。
存在しない架空の物件を掲示している場合はそもそものマンション名がありませんので記載することができません。以前は勝手に物件を見に行かれると内見などに繋がる確率が低くなってしまうとの利用で物件を特定するような情報は掲載しない事もあったようですが、情報過多の現在においてはあまり意味をなさなくなってきています。
それに加えて条件が良すぎる場合も注意が必要です。例えば、近隣では1LDK風呂トイレ別で収納スペースも充実している物件が月々7万円代で募集されているのに対して、おとり広告では同条件で5万円代といった場合です。
金利によりかなり安く広告を出すことによって問合せをもらえる件数が増える可能性が高いです。
もちろん、当該物件には心理的瑕疵(室内での自殺等)があったり、オーナーが残り1部屋だから空いているよりは早く入居してほしいなどの物件ごとの状況やオーナーの狙いがある可能性も大いにありますので全てがおとり広告といったわけではありません。

その他にも、内見を希望頂き現地集合したい旨を伝えても特に理由もなく来店をしつこく促すケースなどがあります。
実際にはない物件を内見いただくことは出来ませんのでこのような方法を取るしかありません。


最後に


おとり広告は罰則などが厳しくなってきているので減っていると思われますが、インターネット広告が主流になりつつあるこの時代では私も知らないだけで増えている可能性もあります。
おとり広告を見分けるのは面倒ですし難しい部分が多くあると思います。ですが、実際におとり広告を見て問合せを行ってしまい希望していない物件を購入、または賃貸借契約を行ってしまうケースも少なからずあります。
不動産を探す際は、まず周りとの比較や物件詳細をよく確認するようにしましょう。万が一おとり広告を基に来店をしてしまったとしても自分の希望に沿う物件を不動産屋に探すように依頼しましょう。
もしも、まったく以降に沿わない物件ばかりを紹介してくるようであれば相手に合わせることはありません。違う不動産屋業者へ依頼をかけるようにしましょう。

2021.01.23