コラム

契約解除について

 

こんにちは。千葉市稲毛区の三和住販株式会社です。
不動産の売買時には不動産売買契約を締結する事となります。その条項の中に何点か売買契約の解除に関する内容が書かれています。今回は、不動産売買の解除について書いていきます。


手付解除


不動産売買を行う際には、手付金を売主に対し預ける事となります。手付金の金額については、売買代金の1割が一般的となっておりますが契約内容によっては1割にならない場合もあります。ちなみに手付金については、決済時に売買代金へと充当される事となります。
不動産売買契約を売主及び買主が解除する場合はこの手付金を用いる事となります。
例えば、売主が契約後に契約を破棄する場合は預かっている手付金を返金するのと、預かっていた手付金の同額を合わせて支払う事により契約を解除する事が出来ます。買主が契約後に契約を破棄する場合は預けている手付金を放棄、すなわちそのまま支払う事によって契約を解除する事が出来ます。なお、この解除についてはどちらかが契約の履行に着手した時以降では行う事が出来ません。
このような契約の解除については、あまり多くはありません。売主側としては、契約を行った買主よりもよっぽどいい条件で購入してくれる買主が現れた場合、買主側としては購入しようとしていた土地よりかなり希望に沿う土地が後から見つかってしまった場合等です。ですが、どちらにしても手付金を支払う事となってしまいますので解除を行う際には熟考する必要があります。


引渡し前の滅失・損傷


この条項については、売買対象の土地もしくは建売物件が天災によって無くなってしまった場合等に適用されます。
例えば、土地の場合ですと大きな地震等で地面が割れてしまい新たに建物を建築する事が出来なくなってしまい、売主の方でどのようにも修復する事が出来ない場合については契約の解除となり受領済の手付金については無利息での返金となります。
建売についても、大きな天災によって売主の方でも修復し元通りに使用する事が出来ない場合や修復を行うにしても多大な費用が掛かってしまう場合についても契約の解除を行う事となります。


契約違反による解除


売主及び買主が契約に定める債務を履行しない場合に期間を定めて催告し、応じなければ契約を解除することが出来ます。
またこの状況になり契約を解除した場合は違約金を支払う事となります。違約金については売買金額の10%くらいが相場となります。
ここでいう債務の履行とは売主の場合、売買物件を引き渡さない場合等が契約違反にあたります。買主の場合は売買金額の支払いを行わない場合等が契約違反にあたります。


反社会的勢力


こちらについては、売主もしくは買主が反社会的勢力に属している場合や自分の名義を偽り反社会的勢力の拠点にするために不動産売買契約を行った際等については、催告することなく契約を解除する事が出来ます。
万が一この規定に基づいて解除となった場合は、違約金として売買代金の20%が必要になります。


融資不承認


土地や建売住宅等を購入する際には、住宅ローンを使う事になると思います。
契約時に定められた期限までに住宅ローンを申し込んだ金融機関から融資の承認が下りなかった場合については契約は解除となります。住宅ローンの本申請については、不動産売買の契約が完了した後になりますので、手付金は既に預けてあります。
万が一、上記のような状況で契約が解除となった場合については、違約金は発生せず手付金についても売主は無利息にて返金する事となります。


契約不適合責任


契約不適合責任については、元々瑕疵担保責任と呼称されておりました。内容の違いとしては、瑕疵担保責任の場合は隠れた瑕疵があった場合に損害賠償請求や契約解除が出来ましたが、修理までは求めることが出来ませんでした。
契約不適合責任に変更された事により修理や代替物や代金の減額に関する請求をする事が出来るようになりました。
契約の解除については先ほども記載しましたが、買主に責任がない場合については引き続き解除の請求をする事が出来ます。


クーリングオフ


不動産の場合は宅地建物取引業法によって定められているクーリングオフ制度があります。
クーリングオフ制度が適用されるかどうかについては、誰とどこで契約をしたかが重要になってきます。
まず、売主が宅建業者かどうかといった点です。売主が一般の方の場合については、クーリングオフの制度外になります。
また、契約した場所が宅建業者の事務所や関連した建物以外であれば制度の対象となります。しかし、買主が自ら希望して契約場所を自宅にした場合については、クーリングオフの適用外になりますので注意が必要です。


最後に


不動産の契約解除の方法については、何通りかありますが簡単に実施できる事ではなくそれぞれ条件や縛りがあります。ですが、方法を知っておくことにより万が一不利な状況に陥ってしまいそうな場合、自分自身の身を守る事が出来ます。
不動産の契約前と契約時には解除要件についてもきちんと理解をするようにしましょう。

2020.08.20